11月27日から12月2日まで、横浜華道協会新進作家展が開催されました。
数年前より、横浜高島屋から横浜新市庁舎に会場を移しての展覧会です。
デパート空間とは違った、とても開放的な明るい会場で、市庁舎を訪れる方々にも気軽にご覧いただけます。
私はこちらの会場に移ってから初めての参加となりました。幸い、神奈川大学の華道部の学生が、卒業の記念に是非参加してみたいと意欲をみせてくれ、第二次展に3名が出品しました。
彼らは特に緊張する様子も見せず、日頃の大学での稽古の時と同じように、楽しみながら生けているように感じました。
若い人は度胸が良い!
私も久しぶりに初めての公の華展出瓶の時のことを思い出しました。
器や取り合わせた花材を目の前にして、自分の中でイメージしていた枝ぶりと違っていたものですから、ものすごく手間取ったことを覚えています。
振り返ってみますと、あの頃はまだ臨機応変にできなかったと思います。
やはり回を重ねるごとに、その場やその時に出会う花材をどう扱うか自然と慣れてゆくものです。植物は自然のものですから同じ素材だとしても同じ形のものは一つとしてないわけです。
あの花材は大体あんな枝ぶりだな、大体これくらいのボリュームかな、と思っても、その時々に違うものです。今ではそのギャップを楽しめるようになりました。
ただ、変わっていないのは、毎回緊張するということです。
素敵に生けるぞ!と毎回強く思いますが、心のどこかで、うまくできるかな?と思う気持ちがあるのです。
それはやはり、花材を手にするまで、枝ぶりがわからないから… 。
想定して選んだ器がピッタリと合うかどうかも心配です。
本当に緊張するのですよ!
「今日はどうなるかなぁ〜」と私が呟くと、
助手の生徒から、
「先生、大丈夫ですよ。必ず素敵にできます」といつも暗示をかけられて、ヨシ!!と花に向かいます。
でも不思議、花材を手にすると自然に手が動くのです。
お花がここに挿して!と言わんばかり、とでも言うのか、本当に流れるように仕上がってゆきます。
そしてそこには、優秀な助手の力が大いにあります。
もし1人で全てをするとしたら、3倍の時間がかかるといつも思います。
準備から後始末まで本当に大変です。
シートを敷く、水を汲む、枝や花の状態をみて、葉を整理したり、そして私が生ける時には枝を支えることもあります。
生けている間にもゴミを整理したり等など、沢山のすべきことがあるのです。
これを1人ですることはものすごく大変です。
いつもお手伝いしてくださる生徒さんには感謝しています。
お花が手元に届くまで、もしくは、目にするまでの間の緊張は、これからも続くと思います。それは植物に対する畏敬の念だと思うのです。
この気持ちはこの道で生きるものとして持ち続けたいと思っています。
今回参加した生徒から、
「来年もまた出品したいです」との言葉がありました。
とても嬉しいことでした。
こうやって少しずつでも、若い人が伝統文化である華道に親しんでもらえるよう、今後も楽しみながら指導して参ります。
梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝