梶井宮御流のいけばなは、平安時代に最澄によって創建された天台宗の院、京都・大原三千院を源としています。
創建以来、本尊に供える香炉・瓶・燭台の三具足のしつらえが伝承されています。瓶には立華以前のスタイル、「たて花」が仏前の供花として立てられます。
院内の居住空間には「抛入花(投入花)」もいけられ、四季の風情が賞玩されてきました。
花のいのちを尊び、一瓶の花に思いを表すコンセプトが当流では長きに渡って今日まで継承されてきました。
当流の祖、常修院宮は、江戸時代前期の公家文化サロンの中心的な存在でした。
いけばなを好んだ直門一実院、慈渓が「梶井宮慈渓御流」という流名を与えられ、江戸で抛入花(投入花)をもっていけばなを広める活動を始めたのが、流派としてのはじまりです。
当流はのちに、江戸後期に成立した「生花」スタイルをとり入れました。
この生花に、先人は新たな美を見出し独自の花型を創りました。以来、当流の中核的な古典花として今日に継承されています。
現在ではこの他にも現代花として、投入花と盛花、先代二十世が新たに創案した現代に対応する近代生花を継承しております。